
第260回 ユリ
近代以前は特定のユリから食用としてのユリ根を採取し、球根は「百合(ひゃくごう)」という生薬として利用されるのが主で、鑑賞の対象になったのは明治以降のことです。肉厚の花びらを形よく広げて、きれの良い足取りで通り過ぎていくような美人さん。自分の美しさを知りすぎているために、今の自分に落ちることはもちろん、とどまる事も許さないようなストイックな雰囲気をまとっています。あでやかな美しさを追求すればするほど、生きているにおいから離れていくようですが、枯れるまで放ち続ける濃厚な香りにだけはこの花の本音が託されているようです。



