ニホンズイセン

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No.304 ニホンズイセン
「日本水仙」。花が香料になるというだけあって、机に置いた2輪の香りが冷えきった部屋を春にしています。スズランの香りのよう。ギリシャ神話の美少年ナルキッソスは復讐の女神の呪いによって、水面に映った自分自身に恋をしてしまいます。自分自身に恋をしているのですから成就するわけもなく、恋焦がれて死んだ揚句に水面を見つめてうつむく水仙になってしまったというお話。確かに、水仙の美しさは首の付け根のあたりの風情に凝縮されているのではないでしょうか。茶道や華道でも日本水仙は第一級の格とされているようで、心得のない私にはその理由はわかりませんが、「佇まい」という説明のつかないものの表現に不可欠なのでしょう。まっすぐひたすら背を伸ばしていった果てに、うつむいて咲く姿が好きだな。

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