レンギョウ

 

No.321 レンギョウ
ゆうべからふり始めた雪は、一夜明けたらこんもりたんまりと全てを丸く包み込んでいました。季節がまた少し逆戻りです。そして雪かき!レンギョウ、先日開催した「花と詩のお茶会コンサート」の会場でも一足早く春の日差しを降り注いでいた花です。当日は原発事故のためにふるさとを離れて避難生活を続けている方たちも招待したのですが、ある女性との会話が頭から離れません。幼い頃、春になると自宅の裏山にたくさん咲いていた黄色いレンギョウ。家には優しいばあちゃんとじいちゃんがいて、幼な心にも「満ち足りる」感覚があったそうです。今この暮らしになって思うのは、あの悩みのない頃が一番良かったのかも知れないということ。そんなことない、と打ち消してあげたかったけれど言葉が見つかりませんでした。ふるさとを追われることは、それまでの仕事も大好きだった風景も失うこと。地元にいながら、わかっているつもりでわかっていないことがたくさんあります。上手な言葉は見つからないけれど、花の美しさを届けることぐらいならできます。人の心はいつも強いものではないから前を向けない事もある。それでもいいと思います。花は優しく、励ますでもなく見守ってくれるはずです。

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