蕎麦


No.747
蕎麦
畑からこぼれた種が土にしっかり根を張り、誰に教えられるでもなく、そっと一足早く咲いていた。
その花は驚くほど小さく、近づいてようやくその姿が見えてくる。
雨上がりの朝には、水玉をまとってなおいっそう可憐に。
こんなにも愛らしい姿から、美味しい蕎麦ができるなんてなんと素晴らしい。季節のめぐりの中で実を結び人の手が届かない場所でも、自らの力で育ち、誰かの食卓に届く喜びへと変わっていく。
庭にひっそり咲いたこの蕎麦の花を見ていると、自然の恵みの大きさと、小さな命のたくましさに心が満たされていく。
こぼれ種が運んでくれた、この静かな贈り物に、そっと感謝したくなる朝でした。

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