ヒイラギ

245hiiragi
第245回 ヒイラギ
「柊・疼木」。キンモクセイ科。ひりひり痛むという意味の「疼(ひいら)ぐ」という古語が由来です。防犯のために生垣に使われるぐらいですから、引っ掻かれるとヒイラグのでしょう。気がつけば今日から12月。風の冷たさに襟元をかきよせるこの時節、ヒイラギの白い花が終わるとそろそろ初雪が山から降りてきます。無機質な冬枯れの中、風にのって運ばれてくる甘い香りの居どころをつき止めると屈強な葉に風をよけてもらいながら白く小さく咲いていました。キンモクセイに良く似た香りで、そこだけがあたたかい場所になっていました。ヒイラギは、鬼門除けとして家の北東の角に植えられたり、節分にはイワシの頭を刺して玄関先に置いたりと邪気を払う強い存在ですが、そのとがって頑迷な葉も樹齢とともに丸くなっていくというのが面白い話です。ちなみにクリスマスの飾りに使われる赤い実のものは西洋ヒイラギでこれとは別のものです。

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