第250回　ナツハゼ
「夏櫨」。夏ごろからすでに、「ハゼ」のような美しい紅葉をちらほら見せるのでナツハゼです。5月頃に咲いた赤いスズランのような可愛い花は、濃い黒色の実になりました。花咲く姿の通りに鈴なりに実をつけますが、先客が食べてしまったせいか残りわずかです。酸味が強いものの、ジャムにするとおいしくてしかもアントシアニンたっぷりなのに残念。濃い実の色から、地方によっては「ヤマナスビ」と呼ぶところもあるようです。山では、この赤い葉に霜が降りてしばらくするといよいよ落葉となります。冬芽が育ったのを確認して、思い残すことのひとつもないかのようにはらはらと風に飛ばされていきます。