No.316　ニオイスミレ
「匂菫」本来の咲き頃は3月から4月にかけてです。　空気を薄紫に変えるようなふんわりとした香りで、スイートバイオレットの呼び名もぴったりです。ナポレオンやマリーアントワネットも愛した香りと言いますから、時間を超えて同じ香りを共有できることに物語を感じます。花だけでなく、葉からも香りの精油を抽出できるので香水の原料としてはおいしい花ですね。すれ違いざまにふわっと香るにおいに、あれっ？と一瞬歩みが遅くなる瞬間があります。香りには形がないから、とても形容が難しいけれど脳は「どこかで会っている」と急回転を始めます。そして不思議な事に、同じ香りを身につけていた人にちゃんとたどり着けるのです。と書くととてもロマンチックですが、ちょっと香りが強すぎるtoo muchな場合にも思い出しているわけです。まぁ、でもその人を思い出せるオリジナルな香りを持っているのは素敵なことです。