
No.368 フキノトウ
蕗の薹(フキノトウ)。まっさきに春を感じる日本原産の山菜です。単純な味覚しか知らなかった子供のころに「ほろ苦い」、という複雑な感覚を最初に教えてくれた食べ物でした。「薹(とう)」はフキやアブラナなどの花茎が伸びてしまった状態を言いますが、「薹(とう)がたった」という女性に優しくない言葉がありますね。実際申し訳ないのですが、天ぷらにしておいしいのは花になる前の、もっと堅くて若い蕾の頃です。フキノトウは川岸の土手、用水路の両脇など水気のあるところを好みます。山の中にいくと、沢のそばの堆積した落ち葉のすきまから緑の顔をのぞかせているので手で掘っておいしいところを採取するわけです。雪解けの山あいで長靴もはかずにでそんなことをしていると、我にかえった時には靴が悲しいことになっていますが、これも春の恵みの代償です。



