福島の花

83keyaki
第83回 ケヤキ
ケヤキは優秀な建築材として世代を越え使用されてきました。
私が建築写真を始めた頃に一冊の本に出会いました『木に学べ―法隆寺・薬師寺の美』という本です。法隆寺、薬師寺の修復や復元に関わり、最後の宮大工棟梁といわれた故・西岡常一さんが77歳当時(1985年)に語った話を口述筆記したものでした。修復には鎌倉時代ほどからケヤキを使われ始めました。ケヤキは時間が経つとそり返ってしまう特性がありそれを見込みながら木組みをするとの事でした。自然に育った木には強いものもあれば弱いものもある。すべてを一律に組んでしまったら弱いところからダメになる。弱い木はそれなりのところに使うし、反り返った木材も無理やり形を揃えたりはしません。人間も同じで長所やクセを知って「適材適所」を活かしながら造ったからこそ1000年も残る事が出来たとのことです。ケヤキを見る度に「木を組むことは人を組む」の記実を思い出します。

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