ジャガイモ


No.726
ジャガイモ
淡い紫や白の花を咲かせるジャガイモ。咲いているその花を、子供の頃はほとんど気に留めたことがなかった。私にとってジャガイモの畑とは、暑さと土埃、そして重たい鍬の記憶と結びつき好きになれなかった。けれど、いつの間にか私も親の世代になり、気がつけば自分の手でジャガイモを掘るのが好きになっていた。ふっくらと土の中に眠っていた芋を、そっとすくい上げるときの喜び。子どもの頃には見えなかった、命の重みと美しさがそこにある。土に触れ、風を感じ、水がしみこむ音を聞く時間は、私の心を整えてくれる。

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