ツリフネソウ

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第173回 ツリフネソウ
「釣舟草」。帆を上げた舟をつり下げたように見えるからですね。でも私にはあの人に見えます。白雪姫の小人。幅広の花びらは白いあごひげに、しかも帽子の先端はくるり巻いています。花の後ろのくるり部分は距(きょ)と呼ばれて密を蓄えます。深いところに溜まっている蜜は、ストロー状の口を持ったマルハナバチを特に歓迎します。しかも下唇のような花びらに乗れば心ゆくまで蜜を吸えるわけですね。そうして体中についた花粉は受粉を助けます。ツリフネソウは実がつくとホウセンカのように触っただけではじけて実を遠くに飛ばします。小さな花にも淘汰された約束事が凝縮されていますね。

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