ニシキギ

223nishikigi
第223回 ニシキギ
「錦木」。この鮮やかさを讃える名前です。春には淡緑色の花をつけるといいますが、この狂おしいぐらいの赤からは夏の姿を想像しがたいものがあります。
樹木は不思議です。季節のいい頃の葉の色は濃淡の違いはあっても緑で一様に見えますが、寒さに向かうこの季節になると樹木としての一生をそれぞれが個性的に全うします。木枯らしを感じたら茶色になってすぐに落葉するもの、黄色から深紅までの様々な色を単色で、混色で見せてくれるもの。葉が枯れても次世代につなぐ鮮やかな実でアピールするもの。どれにも聞くに足りる十分な理由があるのだと思います。ああ、色づいた山の空気に包まれて温泉に入りたい。今日の私はそんなところでした。

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