モミジ

225momiji
第225回 モミジ
もみじを見ると必ず思い出す歌があります。小学校の朝礼歌だった「紅葉(もみじ)」です。「♪秋の夕日に照る山紅葉(やまもみじ)、濃いも薄いも数あるなかに♪」。今書いていて、山紅葉(やまもみじ)が区切りだったのかと初めて気付きました。当時の私は(今もそうですが)どうにも引っ込み思案でさらに悲しいのは子供心にもイケてない自分を自覚していた事でした。そんなところに何故か抜擢された朝礼歌の指揮者。田舎育ちでピアノの心得があるわけでもなく、何拍子なのかの概念もなく音楽の教科書に乗っていた図を真似て同じ動作をただ繰り返すだけでした。壇上の私と、講堂に集まった友人たちのぱくぱく歌っている口元、真っ白になる頭と少しだけの気持ち良さ。人生を重ねても根っこは同じで相変わらずです。何色にでも変われそうなモミジになりたいと思うのは子供も大人も同じだと気付いた秋です。

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