カイドウ

231kaido
第231回 カイドウ
「海棠」。原産は中国。「海」を渡ってやってきた「棠(どう)」(梨)という意味ですが、実際は林檎の仲間です。普通であれば桜の季節を引き継ぐように咲いて、散って、再びの春を待つところですが今更の狂い咲きです。狂い咲き自体は、台風や大量発生した毛虫によって葉が早々に落葉してしまう事が原因らしいのですが、このカイドウにも何かの事情があったのでしょう。季節の勘違いで元気よく咲いてみたら、すでに周りは色づく秋。これって日曜日に昼寝をして起きたらもうすでに暗くなっていて、時間経過がわからなくなる感覚にも似ています。灰色の冬空の下、咲かないで終わる後悔よりは、咲いてしまった後悔のほうがいいと呟いているのかもしれません。

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