大賀ハス

134ohgahasu
第134回 大賀ハス
昭和26年、千葉県落合遺跡の地下6mの地層から3粒のハスの実が発見されました。発見した植物学者の大賀博士が翌年1粒だけ開花に成功したのが、この「大賀ハス」です。弥生時代から2000年もの間、泥炭層の暗い土の中で誰かに見出されるのを待ち続けていたハスの実。土の重みと無音の世界でどうやって時の流れをやり過ごしてきたのでしょうか。ハスの実は埋もれて死んでいたわけではなく、再び復活した時には己の強烈な存在感が周りを圧巻する事になると信じていたのでしょう。撮影した大賀ハスは直径30センチもの大輪で、内側から神々しく柔らかい光を放っているかのようです。背後から弥生人の感嘆の吐息も聞こえてきます。

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