フジバカマ

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第168回 フジバカマ
「藤袴」。女郎花、葛、桔梗などと並ぶ秋の七草のひとつです。木綿糸を短く切り刻んでふりかけたような不思議な花で、満開になると小さなモップのようになってしまいます。ためらいがちな趣で咲き始めた、薄紫の蕾の頃が美しいと感じます。万葉集の時代から現代まで名前が引き継がれてきたものなのに、どんな花なのかは知らないものですね。準絶滅危惧種に指定されており守っていこうと思わなければ日本人の感性の素まで失いそうです。乾燥させると桜餅のような芳香を放つので、貴族の女性は十二単衣にも忍ばせていたとか。

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