ナツヅタ

242natuzuta
第242回 ナツヅタ
「夏蔦」。甲子園球場の顔ですね。落葉しますが、直前の紅葉が最後の楽しみです。日差しと寒さのあたる場所にあって赤味をますます深めていく葉、葉隠れで寒風を避けながら緑を永らえているもの、置かれていた状況が葉の表情それぞれに表れています。暴れん坊将軍の徳川吉宗はこの葉を家紋として使っていたそうです。自分以外のものに付き添って生きていくイメージから、女性用の「女紋」の図案にもなっています。また、蔦が壁と離れず茂っている様子に、馴染み客とずっと離れない意味を含ませて芸妓さんにも好まれる紋と言われています。蔦のからまる御屋敷はどことなく謎めいた雰囲気があって塀ごしにのぞきたくなります。

page top